2011年9月28日水曜日

ロールスロイスにこそEVは相応しい。

誰もが認める高級車、ロールスロイスがEVの実験を始めています。
どうやら実験車両の102EXで世界中でキャラバンしているらしく、今、そのクルマが日本にあります。

OPENERS ロールス初のEV「102EX」試乗会の模様を写真でお届け!

実は、自分もちょろっと乗れる予定だったのですが、諸般の事情にてお流れに…とほほー。

さて、いよいよ街中にEVが走り始めた今日この頃。Teslaロードスターや日産LEAFが街を走っているのを見ると、たしかにこれはちょっとした未来感であります。

三菱自動車は市販EVに軽自動車ベースのi-MiEVを選びました。それをメーカー希望小売価格260万円でリリースしたことは、もう敬服に値するとしかいいようはないでしょう。

さて、ロールスロイス。

誰もがひれ伏す高級車でありますが、そのブランドの栄光の歴史は戦前のシルバーゴーストというクルマが評判を得たことに始まります。


ゴーストなんていうおよそクルマに似つかわしくない名前がつけられたのも、当時としては驚異的な静粛性と信頼性の高さを誇ったからで、エンジンをかけてもその上に立てたコイン(20ペンス?50ペンス?)が倒れない…というのが売りだったわけです。

今のロールスロイス・ファントム(これも幽霊の名前ですねぇ)が走っているのを見ると驚きます。その巨大なマス感、凄まじい仕上げ、Meanな意匠、そして静けさ。日本の高級車も凄まじく静かですが、ロールスの静けさもまたちょっと違う感じです。

ロールスロイス(や高級車といわれるクルマたち)は、

エンジンの音を下品なものと見なし、より静かに。
エンジンの振動を野蛮なものと見なし、より振動少なく。
エンジンの排気ガスを汚物と見なし、より少なくクリーンに。

という歴史的文脈にそって進化してきました。
これって、モーターじゃないですか。結局。

ガソリンエンジンなどの内燃機関の進化とはすなわちこれモーターに近づくための進化であったのです(このヒントは20年ほど前に読んだ自動車評論家の館内正さんのエッセイに拠ります)。

加えてエンジンの味が、鼓動が、音が…というのはそもそもロールスロイスには求められていませんし(基本的にはロールスロイスはオーナーが後ろに座るもの、ベントレーはオーナーが運転するもの)。


さて、現在のテクノロジーにおいてEVの欠点は高いことと重いことです。その原因はガソリンに比べてまだまだエネルギー密度の低いリチウムイオン電池が高価で(ガソリンエンジンなみの航続距離を求めるなら)非常に重くなることにほかなりません。

ところが、世に言う高級車というのは、そもそも高価なものですし、重いものです。バッテリーが300kgあったとして、重さ800kgの軽に乗せるより、元から重さ2000kgの大型車の方が影響は少ない。さらに、そのバッテリーが130万円するとして、車両価格が130万円クルマに積んだ場合価格は2倍になりますが、もともと3000万円のクルマだったら価格影響は5%弱。まぁ消費税レベルですわな。

加えて高級車というのはコストをかけられるものです。まだ普及していないカッティングエッジで高価なテクノロジーは金に糸目をつけない高級車だからこそ採用することができるのです。高級車(やスーパーカー)が戦前からそういった役割があったのは事実です。ディスクブレーキ、パワーステアリング、エアコン、オートマチックトランスミッションすべてそうです。持てる者が実際に使ってダメ出しして、その技術が降りてきて実用車に採用され普及するというのがクルマの(というより機械の)歴史でもありました。つまりは世のため人のためにベータテスターになるというのが高級車に乗る人間のNoblesse Obligeなんです。あ、アーリーアダプターともいえますな ;-)

さらにもう一つ。
高級車というのは、社会的立場のある人間が乗るものです。彼らがこのエコブームの中で、でかいガソリンエンジンで排気ガスを出しながら走るクルマに乗る…ということは明らかにこれからマイナスとなるでしょう。

彼らはEVに乗ることで(たとえポーズであったとしても)大きな高級車にのることの社会的なエクスキューズが成り立つのです。

だから、2011年のテクノロジーでは、EVは高級車にこそ相応しいのです。

日本のメーカーはEVを出すにあたり、大衆車を選びました。それは一気に大衆車からEV化して普及させればCO2削減(CO2削減が本当に必要かはここでは問いません)や省エネルギーへのインパクトが大きいからと考えたからだと思います。HVも含めてそこには日本の自動車メーカーの尊敬すべき努力と実力があります。

一方、欧州メーカーはHVもEVも高価なSUVやサルーンからやろうとしている。いかにも封建的というか階級的というかヨーロッパ的ですなぁ。

んじゃ欧州封建社会でも日本的平等でもないアメリカのTeslaのクルマ文脈的立ち位置はどうなのよ、というのはまたの機会に。



おそらくこのエントリーの数日後からロールスロイス「102EX」のインプレッションが出てくる事でしょう。たぶん、この見立ては大枠で外れてはいないと思いますよ。

で、結局何がいいたいかというと、そんなヨーロッパ的なEVロールスロイス「102EX」に乗り損ねたのが悔しいなぁ、自説を体感したかったなぁ、と……それだけなんですけどね :)





2011年9月1日木曜日

LinkedIn リンクトインが便利だと思った瞬間



半年くらい前からLinkedInを使っています。
いよいよ年内に日本語化されるとはいえ、今のところ英語なのでやはり取っつきにくい部分はありますが、気がむいたときにプロフィールを編集したり、Signalなどのいろいろな機能を試してみたり。


ワタシのプロフィールはこちら

さて、このLinkedIn、巷では転職サイトとかキャリアアップSNSとか言われていますし、それも一つの側面でありましょう。でも Joi さんが以下のように語るように

Joi曰く日本でLinkedinをどう展開するかは「まだ決まってない」

LinkedInはキャリアを自分で管理し、学び続けるための仕事効率化ツール - Joi Ito | TAROSITE.NET

自分のキャリアを見つめ、ポートフォリオを作り、将来のために使うツールなのでしょう。

とはいえ、そういったビッグピクチャーを最初から描きつつ新しいサービスを使うのは敷居が高いと思うケースも多いと思います。

かくいう自分もどちらかというとそうだったのですが、しばらく使ってみてひとつ、これは便利だという使い方を発見したのでご紹介します。

その方法とは、単純に名刺をもらった人を片っ端からLinkedInで探し、そしてConnectしておくことです。

こうすると、いちいちパソコンやスマートフォンのアドレスブックに手打ちで連絡先をいれなくても「とりあえずなんとか繋がっている」という感覚があって、手間もかからずとても気がラクになるのです。

LinkedInで繋がっていれば相手が職を変えようとも連絡が取れますし、転職したらそれが直ぐにわかります。特に、威力を発揮するのは外国の人と名刺交換したときです。これまでは外国の人と名刺交換しても、特に直近でコミュニケーションを取る用事がなければ直ぐに疎遠になってしまいませんか。かといってKeep in Touchということでメールをするのもちょっと気が重い。なにしろ用事はないのですから交換日記というわけにもいかないですし。

LinkedInなら、そんなメールを出す必要もない。他のSNS同様にウェブをたまに眺めていれば、彼ら彼女らがなにをしていたり何を考えているかがざっくりわかるからです。

もちろん日本人同士でもこれは同様です。

そしてこれに気がついた時にピンポイントな使い方かもしれませんが、LinkedInはとても便利なサービスだと思ったのです。

FacebookがひたすらユーザーをFacebookの画面を見続けていくようにさまざまな施策を行っているのとは対照的に、LinkedInはユーザー滞在時間を重視していないといいます。

たぶん、LinkedInの設計思想自体も、こういう使い方を(ある部分)想定しているんじゃないかと思います。そう思う一つの根拠としてたとえばこちらのようにCompanyをフォローすると現れるその会社に勤めている人が前職はどこにいて、転職してどこにいったかがわかる機能があります(この機能の名前がわからないw)。

これは、同じ個人SNSであってもFacebookにはない機能です。なぜなら、サービスのアーキテクチャーとしてFacebookにはそれがないからです。出発点が違うというか骨格が違う感じ。そんな感じ。

こう考えれば、FacebookとLinkedInの使い分けもおのずと明確になるのではないでしょうか;-)

One more thing

弊社で、ちょっと複数の海外企業にアプローチをかけようと思っています(そのうちの一つは現地に行く事も厭わないつもりでいます)。それである方に繋いでもらうことにしたのですが、「森さんと会社のプロフィールをまとめたものはありますか?」と聞かれました。その時「あ、LinkedInのプロフィールを先方に送ってもらえれば大丈夫と思いますよ。補足部分はメールしますね」と口から出たのです。それはまったくもって自分で自分のことに驚いたくらい無意識なことでした。